ぼちぼちいこか
夜間救助2
- 2012-05-08 Tue 17:56:22
- 穂高
前回の記事には驚くほど多くのコメントをいただいた。
そのほとんどが激励や応援そして労いのお言葉であった。
おひとりおひとりにご返信をすることが出来ないけれど、ほんとうに勇気づけられた。
この場をかりてこころより御礼申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。
また必ずしもこのような内容の記事に対して快く思われなかった方もおられたようですが、
そのことも真摯にうけとめ、今後とも山の住人としてのメッセージをお伝えしていきたいと思います。
と、実は上の文章を一昨日の夕刻に記してブログにアップしようとしていたところ、
まさにそのタイミングでまたもや救助要請が入ってしまった。
こんどは奥穂高稜線である。
出動午後4時10分、風雪、視界悪し、気温−5℃。
要救助者は3名+1名だったのだが、奥穂山頂直下で発見遭遇出来たのは内2名。
ひとりはなんとか自力歩行ができたが、もう1名は衰弱が激しく背負い搬送となった。
山荘上の雪壁で夕闇となり、またしてもの夜間救助である。


(2012/05/06 上記2枚=長野県警山岳救助隊 岡田副隊長撮影)
この日は岐阜県警の穂高常駐が午前中に下山してしまっていたので山荘スタッフ4名で事にあたっていた。
そこへありがたいことに涸沢から長野県警山岳救助隊が2名サポートへ駆けつけてくれた。
「駆けつける」といっても涸沢から通常2時間はかかる道程を、ましてこの日は新雪のラッセルの中をである。
彼らとは訓練の後の酒盛りで共にバカ騒ぎをした間柄なのだが、その知った顔が現場へ登場してくれるのはなんとも頼もしかった。
そして山荘へ収容できた要救助者の方は、スタッフ達の懸命の蘇生措置(といってもドクターはいないので、ひとつひとつが手探りの徹夜対応)でなんとか深夜に意識を取り戻し、翌早朝に岐阜県警ヘリにて病院へと搬送された。

(2012/05/07 5:20am)
この日は風速が20mほどもあり、ヘリが3000mの高所に降りるにはかなり困難な状況だったと思う。
祈るような思いでヘリを待つ我々の元へ、強風のなかジリジリと高度を下げ、やがて見事着陸したヘリのパイロットの表情には気合いと使命感が満ちていた。
(さすがや! ありがとう!!)

(2012/05/07 5:25am)
こうして要救助者を乗せて病院へと向かってくれるヘリの後ろ姿には、なんだかいつも胸が熱くなる。
でもそうして、無事にふたりを救えた喜びもつかの間、
その直後には、奥穂高山頂直下の「間違い尾根」で発見された2名の遺体収容作業へと向かった。
現場が急な雪壁の微妙な場所であったため、作業は正午近くまでかかってしまったが、
なんとかこの日の内に亡骸を下界へと下ろすことはできた。
ジャンダルム飛騨尾根を登攀してきた彼等の装備はキチンとしたものだったし、
アクシデントの後、なんとか風雪をやり過ごそうと最後まで戦ったであろうことが感じとれた。
おそらく、その瞬間にほんのわずかでも視界が利けば、あるいは命を落とすことはなかったのではないかと思うと何ともやりきれない。
怒濤のように生と死が交錯した4日間にあって、僕たちはただただ眼前の出来事に力を尽くすことしかなかった。
その中で3名の命が失われてしまった。
今、自分の中に澱のようにある疲れのようなものは、なにも体力的なものだけではないと思う。
一昨日の夜、収容作業を終えて小屋へ入る直前のこと、
突然に雲が切れて「スーパームーン」が照らす山々が姿を現した。
見慣れたはずの穂高なのに、そのときの山は壮絶なまでの美しさだった。
あの時、間違い尾根にいたふたりは、あの光景を目に出来ただろうか…
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夜間救助
- 2012-05-05 Sat 17:48:39
- 穂高

(2012/05/04 10:30pm 涸沢岳稜線にて)
ニュースで喧しく報じられているように、また山で悲劇がおこってしまった。
北アルプスでの遭難死亡者が8名となる惨事。
うち1名は穂高・涸沢岳でのものであるが、
その涸沢岳の一件では死亡者が6名となっていてもおかしくはなかった。
昨夜、涸沢岳で行ったレスキューの詳細をここに記すことはしないけれど、
一般の報道ではうかがい知れない壮絶な行いであった。
遭難場所が涸沢槍という難所であるのに加えて天候は吹雪、しかも夜、
稜線では気温−3℃で風速は20メートル以上、体感気温は−25℃にもなる。
諸状況を考えれば1名の遭難者を救うのでさえ困難かと思えるシチュエーション。
それが6名も…
正直なところ現場へ赴きつつも、仲間たちのことを考えれば、
どこで線をを引いて撤退するべきかを考えていたのが偽らざる心境であった。
だがそんな懸念なぞ関係なしに、いつしか関係者全てでの総力戦のレスキューとなっていった。
県警山岳警備隊、穂高岳山荘スタッフ、居合わせたドクターと看護士の方たち…
そのひとりひとりが、救助要請の第一報が入った午後7時頃から最後の要救助者を収容した午後11時過ぎ、
そして蘇生措置を行った深夜まで、それぞれのポジションやスキルのなかでの精一杯の戦いを繰り広げた。

(2012/05/04 涸沢岳稜線にて)
力を尽くしたにも関わらず、結果としては残念ながらひとりの方が命を落とされてしまった。
その方を背負ってきた若い救助隊員は悔しさでぼろぼろと泣いていたが、
僕はむしろ、あの状況下で6名すべてを山荘へ収容できたことが奇跡的だとも感じた。
収容後の措置で蘇生した方も数名いて、
外での救助活動に加えて、山荘内でのあの懸命な処置がなければ犠牲者の数はもっと増えていたと思う。
躊躇なしに自分たちの防寒衣類を与え、湯をわかし、部屋を暖め、処置に奔走する。
それも寝静まった一般の宿泊客の方々へ迷惑をかけることなしにである。
僕は過酷な現場でヘロヘロになってはいたけれど、
そんな仲間たちの頼もしくかつ素晴らしい行いに、改めて穂高岳山荘というものに感動した。

(2012/05/04 11:12pm 穂高岳山荘の土間玄関、担ぎ込まれた要救助者の処置を行う)
穂高で小屋番として身をおく以上、
こうしたレスキュー現場にたずさわることは結構ある。
今回はそんな経験のなかでもかなり過酷なものであったことは間違いない。
我々は漫画「岳」の三歩クンのようなスーパーマンでは決してない。
「できることはできるけど、できないことはできない」が信条の生身の人間だ。
でも僕たちにはそんないたらない自分をフォローしてくれる頼もしい仲間が大勢いる。
だから、三歩クンの口癖である“あの言葉”を、
今回は(自分を含めた)仲間たちへこそ捧げたい。
みんな、「よくがんばった!」
※ ほんとうは、この「よくがんばった!」は、我々のレスキューの師であり仲間であった、故篠原秋彦さんの口癖でした。きっと、「岳」の作者の石塚さんもそんな想いを込めてくれているのだと思います。
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ファインプレー
- 2012-05-03 Thu 18:47:39
- 穂高
昨日からの雨でますます雪解けが進み、何だかもう山は5月末頃の雰囲気となった。
きっと麓の河川は「雪代」(雪解け水)でエラいことになっているのではないだろうか。
さて、連休期間中は岐阜県警山岳警備隊が小屋に常駐してくれている。
その彼らが今回の常駐に入ってすぐに奥穂への転落防止ネットの補修作業を行ってくれていた。

(2012/04/30)
そして今日、雨の影響で足場が崩れやすくなっていたのか、ロープを結びあっていた2人がこの雪壁を滑落、
しかし転落防止ネットのおかげで怪我もなく大事にいたらずにすんだ。
もしもあの補修作業がなかったなら、かなりの確率で2人の命が失われていたと思う。
起こってしまった遭難事故に対処するのも大切な仕事だが、
こうして事前に事故を防ぐ地味な作業に多くの山岳関係者が力を尽くしている。
今回は岐阜県警山岳警備隊の隠れたファインプレーだったと思う。
きっと麓の河川は「雪代」(雪解け水)でエラいことになっているのではないだろうか。
さて、連休期間中は岐阜県警山岳警備隊が小屋に常駐してくれている。
その彼らが今回の常駐に入ってすぐに奥穂への転落防止ネットの補修作業を行ってくれていた。

(2012/04/30)
そして今日、雨の影響で足場が崩れやすくなっていたのか、ロープを結びあっていた2人がこの雪壁を滑落、
しかし転落防止ネットのおかげで怪我もなく大事にいたらずにすんだ。
もしもあの補修作業がなかったなら、かなりの確率で2人の命が失われていたと思う。
起こってしまった遭難事故に対処するのも大切な仕事だが、
こうして事前に事故を防ぐ地味な作業に多くの山岳関係者が力を尽くしている。
今回は岐阜県警山岳警備隊の隠れたファインプレーだったと思う。
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連休点描
- 2012-04-30 Mon 16:45:54
- 穂高
今年も涸沢にはカラフルなテント村が出現。

(2012/04/29 涸沢ヒュッテとテント村)
そして涸沢からはアリの行列のように登山者が連なる、

(2012/04/29 6:30am)
春の陽光が雪面を照らすなか、気持ちよさそうに(あるいはあえぎながら)ぞくぞくと登ってくる。

(2012/04/29 6:50am ザイテングラードを登る)
やがて奥穂へのルートにも登山者の列、
これだけの人数が歩くとしっかりとしたバケツ(=大きなステップ)が出来るので、見た目ほどにはヤバくはない。

(2012/04/29 11:00am)
でも、多くの人が動くとなるとやはり事故もおきてしまう。
奥穂直下の雪壁付近から滑落したとのことで、岐阜県警のヘリがホイストで収容した。

(2012/04/30 11:50am)
幸い軽傷で済んだとのことで、ホッとする。

(2012/04/29 11:20am)
天気が崩れる兆候とされる日暈(ひがさ)も出現し、現に今日は雲が広がり小雪も舞った。
どうやら明日からは本格的に悪天となりそうだ。
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気温上昇
- 2012-04-29 Sun 05:21:55
- 穂高
昨日の日差しは強烈だった。
下界もぐんぐん気温が上昇したそうで、なんと自宅のある飛騨・神岡では31.3℃!
全国一暑かったそうな。
この急激な気温上昇で、あずき沢ではかなり頻繁に雪崩がでている。

(2012/04/28 9:10am ザイテングラードよりあずき沢)
↑このように出たばかりのデブリを歩くのはかなりヤバイです。
で、出来るかぎりザイテン沿い(あるいはザイテンそのもの)を登り降りしてもらうよう声をかけている。

(2012/04/28 9:10am ザイテングラードにて)
ただ、ザイテングラードは雪崩のリスクは少ないものの途中が急傾斜となるしクレバスもある。
安全策としては、ともかく雪のクサらない早朝に行動するのがよいと思う。
下界もぐんぐん気温が上昇したそうで、なんと自宅のある飛騨・神岡では31.3℃!
全国一暑かったそうな。
この急激な気温上昇で、あずき沢ではかなり頻繁に雪崩がでている。

(2012/04/28 9:10am ザイテングラードよりあずき沢)
↑このように出たばかりのデブリを歩くのはかなりヤバイです。
で、出来るかぎりザイテン沿い(あるいはザイテンそのもの)を登り降りしてもらうよう声をかけている。

(2012/04/28 9:10am ザイテングラードにて)
ただ、ザイテングラードは雪崩のリスクは少ないものの途中が急傾斜となるしクレバスもある。
安全策としては、ともかく雪のクサらない早朝に行動するのがよいと思う。
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お気をつけて
- 2012-04-27 Fri 21:16:16
- 穂高
ここ最近は気温の高い状態が続いている。
昨日は終日雨だったし、今朝は+0.5℃と冷え込みもなかった。
で、見違えるようにこの数日で雪がゆるみ、山はすっかり「春」
そしていよいよ、明日から穂高岳山荘も今年の営業開始となる。

(2012/04/27 涸沢岳より)
今日は水分をたっぷりと含んだ雪面があちこちで雪崩ていた。
(特にあずき沢の奥穂側は注意が必要)
稜線上もザラメのラッセルがところどころあって歩きづらい。
この季節の山は、天候や気温次第で雪の状態が千変万化となり、
また時間帯によっても同じルートが易しくも難しくもなる。
きっと今年も、
穂高へ訪れてくださった方々へ、
数えきれないくらいこの言葉を口にすると思うけれど、
先ずはじめに、気持ちと願いを込めて…
「お気をつけて!」
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天気晴朗なれど、風強し
- 2012-04-24 Tue 19:18:55
- 穂高
一昨日、昨日と続いた悪天は、時折みぞれや雪にもなったけどほとんどが雨だった。
どんどん雪を解かしてくれるほどではなかったけれど、生活用水も得れたし、除雪したところもほとんど埋められずにすんだ。
今日は晴天となったけれど、朝の冷え込み(−5℃)で水分を含んだ雪面はカチカチ。
また今日は風の強い一日で、日射しのわりには寒かった。

(2012/04/24 9:30am)
今日、下界では真夏日となった所もあるそうな…
穂高の風はまだまだ身を切る冷たさだ。

(2012/04/24 6:20pm)
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除雪
- 2012-04-21 Sat 19:27:07
- 穂高
今日は朝から快晴、絶好の除雪日和となった。

(2012/04/21 8:45am)
「雪」とはいっても酷寒の穂高稜線に降り積もった雪はハンパな固さではない。
ところどころ氷の層もあったりして、スコップだけではとても歯が立たず、
チェーンソーや除雪車など文明の利器を駆使して立ち向かう。

(2012/04/21 2:30pm)
今日の日差しは強烈で、昼過ぎにはさずがに雪もかなり緩んだ。
入山4日目となり、みんな連日の除雪で筋肉痛となった体にムチうって雪と格闘。
でも、こうして成すべき仕事が明確で、
体力的には限界近くまで酷使しても、誰に気を使うこともなくブチ働けるのは幸せでもある。
そして今日の夕刻、除雪のとりあえずの目標である玄関を開けることが出来た。

(2012/04/21 6:20pm)
やったぜ!
体はヘロヘロだが、何ともいえない充足感。
さて明日から天気は下り坂とのことで、この時期は雨となるか雪となるか微妙。
雨ならさらに雪を解かしてくれるし水も溜まるのでよいのだが、雪だと除雪したところがまた埋まってしまう。
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