FC2ブログ

Home > 2017年11月

2017年11月 Archive

樹間より

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-11-26 Sun 15:34:03
  • 穂高
林道の歩き始めから思いのほか雪が多く、覚悟はしていたけれどやはり笠新道のラッセルはかなりなものでした。

午後には晴れるとの予報をあてにしてのことでした。
なのに途中ずっと小雪が舞っていて「こりゃあダメかな…」と気合も入らず、
半ば諦め気分もあって、予定していた標高にはとうていたどり着けずに夕刻を迎えてしまったのです。

すると雪の樹々の合間から、見る見るうちに雲が切れて穂高が姿を現し始めるではないですか!

慌てて荷物をかなぐり捨て、カメラだけ持ってなんとか撮れそうな場所をと雪の急斜面をもがきまわりました。



171125 笠新道より_1
(2017/11/25 笠新道より)




この飛騨側からの穂高はジャンダルムがひときわ高く鋭く存在感を示します。
斜光線に照らされたその姿からは、
直線距離で5キロは離れているというのに、まるで哮る稜線の風音が聞こえてくるかのようでした。




やがて夜の帳が下りると樹々の合間には満天の星、そして月明かりに白い穂高が浮かび上がっていました。


171125 笠新道より_4
(2017/11/25 7:30 p.m.)






































冷え込み

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-11-20 Mon 19:56:00
  • 穂高
今朝は各地で「今季一番の冷え込み」となったようです。
確かに今冬は雪も早くて、季節がひと月くらい早い感じ。

そんな中、某所に冬の撮影用の食料などをデポに行ってきました。

で、標高2300m付近でご覧の通りです。

171120 ラッセルs
(2017/11/20 1:00 p.m. きったないヒゲ面でスミマセンです)


ある程度のラッセルは覚悟していましたが、まさか膝上まであるとは思いませんでした。

冬は一週間撮影に入ってワンカットも撮れないこともザラにあります。
なので出来る限り現場に居続けるしかないのですが、そのためには食料や燃料が欠かせません。
でも重い機材と一緒にそんなに多くは持てないので事前に運んでおくわけです。

それが軽いウォーミングアップのつもりが、本番を凌ぐほどのラッセルにヘロヘロになってしまいました。



さて、これだけ降るとちょっと心配になるのが立山です。
たぶん立山は今週いっぱい小屋も営業しているしアルペンルートも動いているはず。
この祝日から週末にかけては初滑りを楽しむスキーヤーやボーダーで賑わうことでしょう。
でも真冬の冷えっぱなしの頃とは違い、今時期は寒波の合間に結構気温が上がって雪が緩みますので、いわゆる“弱層”が形成されやすい。
つまり「雪崩が起きやすい」。


何ごともなければよいのですが。




































残秋

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-11-19 Sun 18:41:50
  • 穂高
山をおりて今日でちょうど2週間です。
今の実感としては「えっ? まだ2週間しか経ってないのか…」と、
何というかとても慌ただしくも濃厚な日々だったので、もうひと月くらい経った気がするのです。

先週と先々週には神戸と松本で上映会を催しました。
両会場とも予想以上に大勢の方にお越しいただけました。

足を運んでくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました。
会場でかけていただいたお声やアンケートの言葉に、とても勇気と元気をいただきました。
ちょっと泣きそうなくらい嬉しかったです。




171119 新雪到来





そして昨日はまた大阪へ赴きました。

先般のヘリ墜落事故でお亡くなりになられた北川機長の告別式に出席するためです。

北川さんには幾度もレスキューフライトでお世話になりました。
かつて、操縦桿を握るその手に文字どおり命を託し、ギリギリの救助現場で共に死線をくぐり抜けました。
あの熱き時代を生きた「戦友」のおひとりです。

入社以来の盟友であられた東邦航空社長の宇田川さんの弔辞には深く胸を打たれました。
「事故現場に飛んでいた赤とんぼに、君の姿を見た……」

あれほど優れた技量をお持ちだったのに、いったいなぜ…、なにが起きてしまったのか…

事故原因についてはまだ調査中でもあり軽はずみなことを記すことはできません。
ただいくつか伝え聞いたことから推測すると、
おそらく墜落したあの場所は、偶然にそこに墜ちたわけではないであろうということ。
少し道路が広くなったあの場所には民家や人の姿はありませんでした。
北川機長は、最後の最後まで力を尽くされたのだと思います。
残念ながらクルー全員が死亡という結果ではあったけれど、他の誰も傷つけることはありませんでした。


普段の温和でニコニコとしたキタさんと、
操縦時の鋭い眼差しのキタさんとのギャップにはいつも驚きを覚えていたけれど、
遺影のキタさんの笑顔には、思わず目頭が熱くなりました。



キタさん、、、

ほんとうに、お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。



合掌













































下山

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-11-06 Mon 15:00:25
  • 穂高
今日、この小春日和の穏やかな日差しは下界におりてきたのだなぁと実感します。

さて昨日の下山についてちょっと記したいことが……


昨日の朝のこと、すべての作業を終えて小屋の玄関を閉じ、さていよいよ皆で下山しようとしたときのことでした。
あるひとりのスタッフが、その閉じた玄関に向かってそっと手を合わせ、その後深々とお辞儀をしていました。

実はその彼は、今シーズンをもって10年近く勤めた小屋番を「卒業」することになっていたのです。


171105 hasumi_1
(2017/11/05 8:00 a.m.)





171105 hasumi_2



ふだんはとてもひょうきんなやつだったので、なおさらその振る舞いが意外でもあったのですが、ちょっとジンとしてしまいました。
きっと万感迫る思いであったろうと。

私はこれまでに、こうして小屋を「卒業」してゆく者をどれくらい見送ってきたことでしょうか。

小屋番という仕事はやはり若者が中心です。
ですから毎シーズン、何らかのかたちでスタッフが入れ替わってゆくのが常であるのです。

おそらくそのひとりひとり誰しもに、楽しくも過酷な穂高での暮らしは「青春の日々」であったに違いありません。

どうか彼もこれからの人生を、その思い出と気概を大切にして歩んでいってくれよと願うのです。


……ほんまに、お疲れさん。



穂高岳山荘の佇まいは、その小屋を守る石垣と石畳とが印象的であると思うのですが、その石ひとつひとつには歴代スタッフたちのそれこそ汗と涙が染み込んでいます。
この小屋が素晴らしいのは、そうした「もの言わぬ名もなき英雄たち」がいたからこそだと思うのです。
まるで石垣の石が、それぞれこの小屋に関わったひとりひとりであるかのよう。

石垣仕事をしていての経験なのですが、いかにもというカタチのいい石は並べやすくはあるのですけれど、そうした素直な石ばかりを使っているとある箇所でどうしても先へ進めなくなることがあります。
そうした場合に役立つのが、およそこんなもの使えんわ、と思っていたヘンな石。
それが全体の辻褄を合わせるの役立ってくることがけっこうありました。

ま、人も石も「個性」ってもんが大切なんちゃうやろか と。




さて、そんな少しセンチメンタル的な気持ちは山の上においといて、あとは美味いもんと酒の待つ下界へ一直線!
ってな感じで白出沢を下りました。

冬から秋への時間を遡るかのような下山路は、柔らかな陽射しに包まれておりました。

171105 hasumi_3
(2017/11/05 白出沢にて)



そして山麓の穂高牧場から振り返ると、そこには新雪に輝く穂高の峰。

みんな「あんな所で暮らしとったのかぁ〜」と感慨深げでした。


171105 牧場より
(2017/11/05 穂高牧場にて)




さて、今夜はこれから夏のアルバイトたちや岐阜県警警備隊さんたちも交えての打ち上げの席があります。

心ゆくまで盃を酌み交わしたいと思います。


































月明かり

  • Posted by: Hachiro
  • 2017-11-05 Sun 20:31:35
  • 穂高
今日、スタッフ9名で一年の仕事を終えて無事下山しました。

白出沢は出合付近まで雪があってけっこう難儀したのですが、抜けるような青空の下で「冬」から「秋」へと季節を逆もどりにたどったかのようでした。


さて、これは昨夜の一枚。

171104 月明かりの山荘
(2017/11/04  月明かりの穂高岳山荘)



夜半に吹雪が去り、切れ始めた雲の合間から顔をのぞかせた満月が辺りを照らし始めました。
月明かりの雪山というのは、ほんとうに神々しいです。

その月明かりに浮かびあがった山荘は、もう全ての窓が雨戸で閉ざされて玄関だけから灯が漏れていました。
その灯りは「ここに確かに人間がいる」というささやかな証であるかのよう。

これから半年の穂高はもう、およそ人が暮らせる場ではなくなります。
いや、一年を通して穂高の自然はそうそう人にやさしいものではありません。
その山にあって、確かにそこに生きて、生きてきた、生きている者たち。

その存在を思うと、私は少し胸が熱くなります。

今年も多くの登山者が穂高を訪れ、感動や感激を抱いてくださいました。
その陰で、また今年も20名に迫ろうかという方々が穂高で命を喪われています。
そうした歓びも哀しみも、山に人が関わることによって生じます。
月明かりの中の小さな灯りは、そんな山と人との存在をどこか象徴しているかのようでした。

















Index of all entries

Home > 2017年11月

タグクラウド
リンク
パタゴニア Photo: Barbara Rowell
使いっ走りheyko のつぶやき
メッセージはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

ランキング

この人とブロともになる

QRコード
QR
ブログランキング

FC2Blog Ranking

ようこそ穂高へ

Return to page top